小売店向けECサイト運営において繁忙期のトラフィックに耐久できる性能改善を実現

商戦期に増加するアクセスを見越しリアルタイムアプリケーション性能管理ソリューションを導入

システム運用時に発生する問題を、迅速かつ効率的に解決するためのリアルタイム総合性能モニタリングツール「JENNIFER」は、Webアプリケーションサーバで稼働するJ2EEシステムに対し、その稼動状況をリアルタイムに、ひとつの画面で直感的に把握できる機能を提供するNECビッグローブが導入に至った経緯は次の通りである。

ECサイトでは、繁忙期やイベント時などにはトラフィックが通常期の数倍に増加、一桁変わってしまう位に激しく変動する。一方で負荷が高くなった場合でも、決して決済機能を停止する状況があってはならないという条件がある。

したがって、「季節毎のイベント商戦期に徐々に利用者が増えることが予見できたので、万全の体制を築くために早めに手を打っておきたかった」というのが、導入に至った経緯である。

　NECビッグローブのビジネス事業部は、法人のお客様向けにサービスシステム基盤および、SaaSやPaaSプラットフォームを提供するビジネスを担っている。

　｢認証｣「課金」「会員管理」「メール配信」「動画配信」などを備えるサイトへ一時的に集中する高トラフィックにも柔軟に対応できる技術力、堅牢かつ信頼性あるセキュリティ、長年の実績により培われてきた構築スピードを以て、多岐の業種に渡りサービスを展開している。

直感的でわかりやすいレポートで、種々の改善計画を迅速に実施


ECサイトの対象商品は数万点、カテゴリも数千点と多い。

企画も季節やイベント毎に随時増えるなど、仕様およびURLの体系が複雑であることから、ボトルネックとなっているアプリケーションおよびデータベース処理を特定するための調査・分析・報告に手間がかかり、工数が大きくなることが問題点となっていた。

そのような折、システム的に障害がおきているわけではないにもかかわらず、DBの負荷が高い部分が認められるケースがあった。どこにボトルネックがあるか特定したいが、膨大な量のSQLを1本ずつ検査するには時間も工数もかかる。

このためAPM（ApplicationPerformanceManagement：アプリケーション性能管理)製品の中から、最もコンソール画面の見やすさに優れている製品を検討し、テスト導入をすることにした。それがJENNＩFERを利用した最初のきっかけであった。

　｢JENNIFERを使用してみて、まずX-Viewレポートが直感的で分かりやすいと感じた。｣と、ビジネス事業部　伊藤　祐氏は話す。
　JENNIFERの導入効果は、テスト運用後すぐに現れた。

本番システムに移行する際、負荷が高くなることを懸念したが、全くと言っていいほど、サービスに影響を与えることはなかった。ボトルネックとなっている処理箇所の特定と、改善計画の元になる基礎データの図表化が効率化された。

問題箇所の特定から改善作業に至るプロセスが劇的に短縮
～APサーバ障害診断、性能低下原因分析と障害原因分析が一目瞭然で判断できる画面～


ボトルネックとなっている処理箇所を特定するためには、アクセスログ/APサーバログ/データベース性能レポートなど、コンポーネント毎に分散されているログを収集し、まとめた上で解析することが必要であった。
この作業には専門スキルを持つエンジニアをアサインした上で、大きな工数を割く必要があった。

しかし、JENNIFERのX-Viewレポートをはじめとする種々のレポートでは、アプリケーションパス単位にAPサーバ/データベースまでの一貫した処理状況と、各コンポーネント毎の処理性能がひと目で確認できるため、担当者はこれまでの膨大なログ収集および複雑な分析作業から開放された。作業時間も大幅に削減することができ、問題箇所の特定から改善作業に至るプロセスが劇的に短縮された。
　
また、「関係者へ改善計画を共有する際の根拠となる基礎データとしてもそのまま利用できるため、多数のデータから納得性を持たせるための煩雑な報告書作成業務からも開放された。」
（伊藤氏）という。

PLC（Peak　Load　Control）ピーク負荷制御機能によるリスク回避
24時間365日無停止システム構築



また、「負荷が高い場合であっても無停止で稼動させなければならない」というサービス要件を満たすため、JENNIFERに備わっているPLC (Peak Load Control：ピーク負荷制御)機能を活用し、業務別サービスの優先順位を設定。

「決済処理を提供する機能は、どれだけ高い負荷がかかっても決して停止させることはない」と、ECサイトの導入先に伝えることができたという。

　「担当者からJENNIFERのレポートをみせられ、即導入を決断した。当社のお客様、さらにその先でご利用いただくお客様の利便性を重視するサイトを構築していく上で、障害がおきる前に危険を察知し対策が取られることは重要なこと。

Webアプリケーションを管理する時に、いかに素早く状況を把握し、原因が潜む箇所を掴み対策に導かなければならない」と、
ビジネス事業部グループマネージャー　近藤　真子氏は語る。